昔は髪型維持のために使われていた⁉意外で面白い枕の歴史とは

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枕は人間が快適に眠るための必須アイテムですが、いつ頃から使用されるようになったのかは、はっきりとしていません。
今回は、枕が今のように生活に取り入れられるようになるまでの歴史をみていきたいと思います。

世界での枕の起源は?

現在は世界中で用いられている枕ですが、その起源は約200万年~400万年前の人類にまで遡ると言われています。
1924年、南アフリカでアウストラロピテクスの頭蓋骨の下に敷かれていたとされる石が発見されましたが、果たしてこれが眠る際に使用されていたのか、それとも祭事の意味合いで置かれていたのかは明らかではありません。
紀元前1300年頃の古代エジプトでは、ツタンカーメン王が使用していたとされる枕が発掘されています。

裁縫や染色の技術が進歩するにつれて、枕は工芸品として発展していきます。
中国では陶磁器製の枕や布地に刺繍の施された枕が作られるようになり、中世ヨーロッパでは貴重品として売買されていました。
その後、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命により枕の製造も機械化され、安価で大量に生産されるようになります。
それまで、一部の裕福な人以外は布地を縫い合わせただけの簡素な枕を使用していましたが、この産業革命以降、様々な形状の枕が大衆文化に普及されていきました。

日本の枕の歴史

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日本では、古墳時代の出土品として枕が発見されています。
死者を古墳に埋葬する際に、土でできた埴製枕(はにせいまくら)をはじめ、石、琥珀などの多様な材質の枕を用いていましたが、その当時、古墳に埋葬される人は大変位の高い人でした。
そのため、この時代の枕は、権力の象徴として死者に使用されていたと考えられています。

今から1300年程前の万葉集には、草や木、石でできた枕が登場しています。
室町時代には日常生活の中に枕が取り入れられるようになり、草枕をはじめ、ヒエやそば殻を中に詰めたくくり枕、木の台の上に小さな枕状のものをくくり付けた箱枕などが使用されていました。
江戸時代に入ると、男性は髷(まげ)を結うようになり、女性の髪型も多種多様に変化していきます。
この髪の形を就寝中も崩さないように、箱枕や撥枕、組み木枕などの高い枕が主に使用されました。

明治時代には、断髪令が敷かれたことにより江戸時代とは髪型が大きく変化します。
それに伴い、枕も高さのあるものではなく、くくり枕が一般的になりました。
江戸時代には髪型を守るものであった枕が快適に眠るための道具として用いられるようになったのは、この頃からだと言われています。
その後、昭和にかけて現代の枕の元型である平枕が使われるようになりました。
現在では寝心地を重視して、枕の形状や素材も色々な工夫がされています。

現在の枕はいろいろ!

日本では寝心地を重視して、枕の形状や素材も色々な工夫がされています。
日本では、今様々な枕が売られ、中身の素材もビーズやそば殻、綿などいろいろですし、好みに合わせてオーダーメイドの枕を持っている人もいるほどです。
それほど、睡眠を大切にする国民性ともいえるかもしれませんね。
枕には長い歴史があり、それを知るだけで今自分が使っている枕も気になってくるのではないでしょうか?
ブルーライトによってメラトニンが抑制されないように、睡眠前のスマホは、できるだけ避けた方がよさそうですね。

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いかがですか?
現代では、当たり前のように安眠のためのアイテムとして使用されている枕ですが、長い歴史の中では多様な使われ方をしてきたことがおわかりいただけたかと思います。
今は色々な種類の枕がありますが体に合ったものを選んで快適な睡眠を導いていきましょう。

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