眠りの質に影響する?嗜好品と睡眠の関係とは

眠れない時に寝酒を飲むという方もいるのではないでしょうか。
逆に眠気がとれない時にコーヒーなどのカフェインを摂取する方も多いでしょう。
今回は、これらの嗜好品と睡眠の関係、さらに正しい摂取の仕方についてみていきます。

寝酒は睡眠の質を下げる?

寝つきをよくするために寝酒を飲んでから眠る方もいるでしょう。
アルコールには精神の緊張をほぐして気持ちを落ち着かせる効果があり、欧米ではナイトキャップといって就寝前にアルコールを摂取する習慣もみられます。
確かに寝酒には寝つきをよくする面もあり、睡眠の前半には効果を発揮します。
しかし、アルコールは吸収、排泄が早いのが特徴です。
そのため、アルコールの血中濃度が低下する睡眠後半になると、眠りが浅くなり中途覚醒が増えてきます。
また、アルコールによって交感神経の活動が高まるため、脈拍が早くなったり発汗が起きたりします。
アルコールは毎日飲み続けると耐性がつき、徐々に緊張をほぐす等の効果が薄れてしまいます。
眠るためにアルコールの量を増やしていくと、アルコール依存症のリスクが高まるほか、肝機能に悪影響を及ぼす恐れもあるのです。
さらに、アルコールを多量に摂取すると日中の眠気や疲労感が強くなることも知られています。
これはアルコールによって上気道周辺の筋肉がゆるんだり、鼻の粘膜が腫れて鼻づまりが起きることで、気道が狭くなり、睡眠中に酸欠状態に陥るためです。
このような状態は、睡眠中のいびきを増加させたり睡眠時無呼吸症候群を引き起こしたりします。

タバコの覚醒作用とは

それでは、やはり嗜好品であるタバコは睡眠に関係があるのでしょうか?
タバコに含まれるニコチンには覚醒作用と鎮静作用があることが知られています。
タバコの覚醒作用は喫煙後1~2時間続くため、就寝前の1~2時間は吸わない方が良いでしょう。
また、タバコを吸う人は、吸わない人に比べて睡眠が浅くなり、睡眠時間も短くなる傾向があることが知られています。

カフェインの摂取は夕方までに

次にカフェインと睡眠の関係についてもみていきましょう。
カフェインには覚醒作用があり、この効果は摂取後4時間以上持続します。
特に高齢者はカフェインの代謝に時間がかかり、覚醒作用も長く続くため、夕方以降の摂取には注意した方が良いでしょう。
カフェインは脳内の睡眠物質であるアデノシンの作用を阻害すると言われています。
アデノシンは睡眠を誘発する神経調節物質で、脳に溜まると眠気が強まります。
カフェインはアデノシンの働きを阻害し、眠気を抑制してしまうのです。
カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶や緑茶、栄養ドリンク、さらにはココアやチョコレートにも含まれています。
特に冷たい飲み物は体内での吸収に時間がかかるため、温かい飲み物よりも覚醒作用が持続します。就寝前には、カフェインの入っていないタンポポコーヒーやハーブティーを温かくして飲むのがおすすめです。

嗜好品を楽しむ際には、就寝前の摂取は控え、適量を心がける

嗜好品は私達の心や体に良い影響を与える面もある一方、摂取するタイミングや量によっては、寝つきを悪くしたり、睡眠の質を下げるなどの悪影響を及ぼす場合もあります。
嗜好品を楽しむ際には、就寝前の摂取は控え、適量を心がけるようにしましょう。

(参考)

  • 快眠セラピスト三橋美穂著「驚くほど眠りの質がよくなる睡眠メソッド100」
  • 一般社団法人日本栄養睡眠改善協会「栄養睡眠改善トレーナー養成講座テキスト」
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