歳を取るとどうして寝付きが悪くなるの?

年齢を重ねるにつれ寝付きが悪くなり、夜中にトイレに起きることも多くなります。
熟睡できないと朝スッキリ起きれなかったり、日中眠くなりうっかり長時間昼寝をしてしまい、また寝つけなくなることに。
歳を取ると寝付きが悪くなり眠りが浅くなるのは、残念ながら必然的な理由があるのです。

1. 歳を取ると寝付きが悪くなる理由は?

メラトニンの減少

年齢とともに寝付きが悪くなる一番の理由は、メラトニンの分泌が減少することにあります。
メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれる脳の「松果体」という部分から分泌されるホルモンで、体内時計に働きかけ、覚醒と睡眠を切り替えて自然な眠りを誘う作用があります。

このホルモンは、人が生まれてから10歳でピークに達し、そこから徐々に減少し30歳代ではピーク時の半分以下、60代では微量しか生成されません。メラトニンが減少することで、体内時計の調整機能が弱くなると考えられています。

メラトニンは暗くなり始める夕方頃から増え始め、そのため夜になるとだんだんと眠くなってきます。夜中までテレビやパソコンの画面を見ていたり、昼夜逆転の生活を送っているとセルトニンの分泌が抑えられてしまうので、若い人でも睡眠の覚醒リズムが乱れ寝つきが悪くなることがあるのです。

日中の活動量が低下し体温変化があまりなくなる

人間の体温がもっとも低いのは起きる直前です。起床後、次第に上昇し寝る前にだんだんと下がっていきます。寝るときに体温を下げることでエネルギーの代謝を抑制し、脳を休ませるので、人は眠気を感じます。

ところが年齢とともに日中の活動量が減ると、一日の中で体温上昇があまりなくなり、最高体温が低くなります。そのため体温を下げるのに要する時間が短くなり、寝付きも悪くなるといわれているのです。
また、退職して日中ゴロゴロと家にいることが多くなり、つい何時間も昼寝をしてしまい夜眠れなくなる、ということもあります。

加齢や持病による睡眠障害

加齢により、次のような睡眠障害の症状が多くの人にみられるようになります。

  • 寝付きが悪くなる「入眠困難」
  • 眠りが浅くなる「熟睡困難」
  • 夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」

睡眠中に10秒以上呼吸が停止する「睡眠時無呼吸症候群」は、気道の筋肉が衰えた高齢者に発症しやすいといわれています。
また、年齢とともに増える持病の影響や薬の副作用のこともあります。

2. 必要な睡眠時間は年齢とともに減っていく。しかし一定時間は必要。

厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針2014」では、65歳以上の睡眠時間は約6時間と推奨しています。
一般的に、年齢とともに徐々に睡眠時間は減少していくといわれていますが、高齢者であっても一定の睡眠時間は必要です。20代の若者が推奨される睡眠時間が7時間であり、比較すると1時間しか変わりません。
必要な睡眠時間は個人差がありますので一概には言えません。しかし日中に眠くなるようであれば、熟睡している時間が少ないということです。

3. 寝付きを良くするには眠れる体質を維持すること

年齢とともに筋力が衰え、新陳代謝が悪くなることも寝付き悪くなることにつながります。家の中ばかりにいて、活動せずに日光を浴びない生活をしていると、メラトニンが分泌されにくく、ますます体内時計の調整ができなくなっていきます。

なかなか眠れなかった翌朝でもきちんと布団から出て、一日に一度は外出して太陽の光を浴びましょう。朝早く目が覚めてしまった時は思いきって散歩に出かけてみましょう。
朝日を浴びることにより、メラトニン分泌を促すセロトニン神経が活性化にされます。ウォーキングなど軽い運動を行うとさらに効果的です。
夜、自然に眠くなり寝付きを良くするには、日頃から眠れる体質を作っておくことが大事です。

睡眠は免疫力を向上させ、老化や病気の予防になるとともに、精神を安定させるのでうつや認知症を防ぐことができます。子どもや若者だけでなく高齢者にとっても眠ることは大切なのです。歳とともに睡眠時間は減っていきますが、良質な睡眠を確保できるよう工夫しましょう。

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