あなたはランチ後の眠気とどうやって戦っていますか?
終日デスクワークで午後は5~6時間座りっぱなしという日は、眠気に負けそうになるもの無理はありません。
まぶたが重くて仕事が全くはかどらないとき、もし会社で堂々と昼寝ができたら…。
実は、昼寝を積極的に活用する取り組みがビジネスシーンで広がっているのです。
アメリカのビジネスマンの昼寝「パワーナップ」
アメリカではグーグルやナイキなどの大企業の社員が「パワーナップ」という15~20分ほどの仮眠を活用しています。
米国のコーネル大学の社会心理学者・ジェームス・マース氏が提唱するパワーナップのやり方は簡単で、昼食後にタイマーをセットし、横になるか座った状態で眠ります。
ポイントは眠る前にコーヒーやお茶などを摂取しておくこと。
カフェインは眠気覚ましの効果が現れるのに時間がかかるため、睡眠の前に飲んでおきます。
目が覚めたら太陽の光を浴びたりストレッチをしてから仕事に戻ります。
NASAでは宇宙飛行士が26分の仮眠をとるとパフォーマンスが34%向上するという研究結果も得ています。
厚労省も認める昼寝の効果
海外のビジネスシーンで昼寝の効果が認められている一方、日本では?
調べてみると、厚生労働省は「健康づくりのための睡眠指針 2014」の中で、前日の夜に十分な睡眠がとれていない場合は「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的」と定めていました。
すでに国がお墨付きを出しているんですね。
畳で昼寝できる会社
昼寝を効果的に取り入れようという会社は日本にもあります。
法人・団体に弁当・ケータリングを提供するスターフェスティバル株式会社では、昼寝を社内の制度として導入しました。
スタッフは1日30分好きな時間に仮眠をとって良いというもので、社内にはごろんと寛げるソファや畳スペースが用意されているのです。
仕事にメリハリをつけることができるほか、花粉症などの薬の副作用で眠くなる時も利用できるのが嬉しいですね。
昼寝を容認する会社で、社員が自立
さいたま市のリフォーム会社(株)OKUTAは昼寝を容認していることで知られています。
納期通りにきちんと仕事を遂行さえできれば、お昼寝の時間はいつでもOK。
時間もとくに決められていません。
もちろん申請をする必要もなしで、完全に各自の責任において、自由に昼寝をしていいのです。
「眠い」という自然の摂理に反して我慢して仕事をすることで、かえって生産性が落ちるからと、昼寝を悪者にせず、あえて堂々と勤務の中に導入する方針は見事です。
しかも、昼寝の副産物は生産性アップだけでなく、社員の自立にもつながるのだそう。
自分の責任において、昼寝をし、時間を管理することで受け身でなく、自立した社員が育つという狙いもあるようです。
中学校でも昼寝
昼寝の活用は学校教育の現場でも始まっています。
兵庫県の加古川中学校では、昼食後の10分間に生徒が昼寝などリラックスした時間を過ごす「加古川シエスタ」という取り組みを行いました。
オルゴールのBGMを流して照明を消すなど雰囲気を切り替えて仮眠をとり、午後の授業の集中力を高めようとするものです。
これは生徒の提案で試験的に実施されたものだそう。
スペインのお昼寝の習慣、シエスタは、あまりにのんびりし過ぎて、(昼過ぎに企業も、店舗も昼寝で機能を停止してしまう)経済的に問題になってきたことから、廃止の動きが出てきているほどですが、日本はまだまだです。
それでも、少しずつ市民権を得ている合理的な昼寝。
昼休み明けに会社のデスクに堂々と突っ伏していられる日は、案外近いかも?