レム睡眠時の夢は奇想天外!夢の不思議

怖い夢も見ることはありませんか?
いわゆる「夢をみる」のは、レム睡眠のときだといわれています。しかし、実際はノンレム睡眠のときでも見ることがあると、分かっています。面白いことにレム睡眠とノンレム睡眠とでは、見る夢の内容に違いがあるようです。ノンレム睡眠のときの夢は「人と会話した」「何か景色が見えた」など、シンプルで感覚的なものが多く夢らしくないため、夢として認識されなかったりします。

レム睡眠のときの夢は論理が崩壊!

レム睡眠のときに見る夢は、論理的におかしいことが多いことがあります。覚えのない試験に落ちたり、ギャングに追いけられたり、空を飛ぶなどありえないことが起こったり…。妙に長いストーリーを見ることもあります。物理的にもおかしいのに、夢の中ではなぜか受容してしまいます。高いところから転落する、大事なものをなくす、電車に重要な書類を置き忘れた!など、不安や恐怖などにかかわる夢も多いようです。

アラン・ホブソンの夢日記

ハーバード大学の精神科医であり夢研究家のアラン・ホブソン博士は、自分の夢を書き留めた夢日記を集め内容を分析しました。大きく分けたカテゴリーは次のようなものです。

  • 非論理的なストーリー
  • 恐怖感、または歓喜の夢
  • 運動、または動きのある夢

ホブソンは「動きのある夢」を見るのは、レム睡眠時、脳幹の運動にかかわる部分が寝ながら活動しているからだと考えました。脳幹の付け根にある脳橋から生み出される神経伝達物質、アセチルコリンが夢もつくるというホブソン理論です。

しかし、1990年代後半、精神心理学者のマーク・ソームズは、事故で脳幹を損傷した患者も夢を見ていることに気づきました。これが本当ならホブソン論は成立しないのでは?興味を持ったソームズはさらに研究を続け、欲求や感覚・イメージをつかさどる頭頂葉が損傷すると夢を見なくなることを発見しまし、夢はイメージをつかさどる頭頂葉から分泌されるドーパミンが作るという説を発表しました。
ソームズ論は、夢理論で有名なのはフロイトの「夢は潜在的に抑圧された欲求が現れたもの」という説にも通じます。
フロイトは心理学者のように思われていますが、実際はメンタル関係の開業医でした。現代でいう診療内科でしたから、患者さんの多くは鬱などにかかっていることが多く、精神分析学を研究していたのです。フロイトの考える夢とは、一見何の意味もない夢、おかしな夢であっても、無意識のうちに自ら選んだことの現れだと考えました。人は無意識で行動していることが多いため、夢を分析すれば意識下の深層心理が読み解けるのではないかと考えたのです。詳しい分析方法はフロイトの著書『夢判断』に書かれているので、興味のある方は読んでみるといいでしょう。

精神科学者的な見解は現実的

精神科学者の櫻井武氏は、著書『睡眠の科学』の中で、夢は、精神科学的に「レム睡眠中に脳が活動するために起こる一種の幻覚」「脳機能のメンテナンスのために脳が活動し、そのときに生じるノイズ」と捉えていることが書かれています。「夢が未来を暗示する」というスピリチュアルな考えをする人もいますが、科学的にいうと、夢は過去に獲得した記憶の断片なのです。

参考文献:『睡眠の科学』櫻井 武 講談社

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