睡眠不足解消の鍵は?寝だめはできる?できない?2つの説から読み解く

睡眠不足のイメージ

良い睡眠が健康に大事なことは周知の事実です。
しかし、現代社会で働く人の中には、十分な睡眠時間を確保するのが難しい人もいるでしょう。
「休日に寝だめができたら」と思ったことがある人も、一人二人ではないはずです。

人間は寝だめができるのか、できないのか。
睡眠についての研究で有名なハーバード大学が発表した研究結果がしばしば話題になっていますので、ご紹介します。

寝だめはできる?「睡眠不足清算可能」記事がネットで話題

2014年、「睡眠不足は清算できる」とするハーバード大学医療大学院の研究結果が出たとネットニュースに載り、拡散されています。

記事によれば、「睡眠時間が少なくなってしまっても、短い期間の睡眠不足であれば、その時間を適切な方法で取り戻すことができる」となっていて、寝だめができるともとれるような内容になっているのです。
例えば、ある一週間に寝不足を感じていれば、週末に3~4時間いつもより余分に寝て、それでも足りない分は、翌週も毎日1~2時間余分に寝ると良いとされています。

ただし、睡眠不足が何週間、何ヶ月も続いてしまうと、「睡眠の借金」が蓄積されていくようです。
その場合は、短い休暇をとり、目覚まし時計をかけず自然に目が覚めるまで寝続けることを、記事では推奨しています。

このようにして寝不足は清算できるとは言え、やはり睡眠不足という「借金」を作らないことが望ましいのは言うまでもありません。
自分にとって必要な睡眠時間を把握し、「毎日その睡眠時間を確保できるように心がけること」、「少なくとも平日は毎朝同じ時間に起床し、同じ時間に寝るようにすること」、「週末をゆっくり過ごすこと」を呼びかけて、記事は締めくくられています。

寝だめはできない?ハーバード大学院教授が科学的に立証

一方で、2016年には「睡眠不足は寝だめで解消できない理由が判明!」という、上記の話とは全く逆のような記事が出てきています。

そこでは、ベルギーのリエージュ大学研究チームが、アメリカの学術雑誌『Science』に発表した睡眠に関する実験結果を受け、アメリカハーバード大学医学大学院の睡眠医学の教授チャールズ・ツェイスラー 氏が、寝溜めができない理由を発表したニュースが取り上げられています。

リエージュ大学の研究チームが示したのは、光や暗闇に反応して眠るか起きるかを決定する「体内時計」と、起きている時間が長いほど眠くなる「体内砂時計(恒常的睡眠欲)」の相関関係です。
それを受け、チャールズ・ツェイスラー 氏は、「体内時計」と「体内砂時計」の相互作用を以下のように説明しています。

「例えば、24時間起き続けた後に眠ると、数時間後に目が覚める。それは、体内時計にある“目覚まし時計”が鳴り、目が覚めるから。24時間起きていた状態の“体内砂時計”が睡眠時間を決めるのではなく、時刻を感じる“体内時計”が決めるので、目が覚めてしまう
のだそうです。

確かに、徹夜明けで疲れていてすごく眠れそうでも、意外とすぐ起きてしまうことはありますよね。
その理由が、「体内砂時計<体内時計」というわけなのです。

結論、睡眠不足は少しのうちに解消せよ!

上記2つの記事は、一見真逆のことを言っているのかのように見えます。
しかし、よく読んでみると、実は同じような結論になっていることがわかります。

すなわち、「大幅な寝だめで睡眠時間を貯金しておくことはできないけれど、少しの睡眠不足はいつもより少し多めに眠ることで解消できる」ということです。

両記事とも、短期間の睡眠不足なら、いつもの睡眠時間より2~3時間多めに眠れば寝不足による疲労を回復することができると結論付けています。
前の日あまり眠れなかったなと感じたら、翌日はいつもより早くベッドに行き、目覚まし時計をセットせずに眠るのが良いですね。

慢性的な寝不足状態にならないように

やはり、睡眠は健康な体づくりの基本です。
長期間の睡眠不足は蓄積されると体の様々な機能に悪影響を及ぼしかねません。
なるべく、少なくとも1週間単位で睡眠時間を調節し、慢性的な寝不足状態にならないよう心掛けましょう。

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